革新的デザインが創出する「月への一歩」

禅の美学を取り入れたCES 2024日本館

テクノロジーの祭典、CES 2024において、日本の独自性を象徴する展示ブース「ムーンショットバー」が注目を集めています。デザイナー吉田健氏によるこのプロジェクトは、禅のシンプルさと最小化の概念からインスピレーションを受け、来場者に深い印象を残すことを目指しています。

「ムーンショットバー」は、単なる展示スペースを超え、来場者が交流し、対話を楽しむことができるよう設計されています。この空間の特徴は、一見すると混沌とした多くのアトラクションを、限られたスペースに緻密に配置する「組織されたカオス」を創出することです。展示テーブル、インフォメーションカウンター、バー、ラウンジスペース、大型ビデオディスプレイを備えたイベントスペースの5つのアトラクションが、来場者を引き込みます。

デザインの実現にあたり、会場の天井が低いため、透明感と広がりを最も重要な要素として取り入れました。展示テーブルの高さを低く抑え、壁の使用を最小限にすることで、空間の一端から他端までの視界を遮ることなく楽しむことができます。また、テクノロジーをテーマにしたコンベンションでは一般的な冷たい白色の照明とは異なり、温かみのある白色の照明と緑の植物を使用することで、人々を惹きつけ、バーの居心地の良い雰囲気を創出しています。

ブースエリアは約18メートル×15メートルの広さで、来場者は通常の展示ブースとは異なる経験を「ムーンショットバー」で楽しむことができます。この名前は、この空間から「ムーンショット」、つまり大きな飛躍が生まれることを願って名付けられました。展示者と参加者の間の対話と交流を生み出すことが、世界に製品やサービスを訴求する目標を達成する最善の方法の一つです。

このプロジェクトは、2023年8月にサンフランシスコと東京で始まり、2024年1月にラスベガスで完成しました。そして、世界最大のテクノロジーイベントであるCES 2024で展示されました。デザインの研究では、展示ブースでの対話と交流を増やすことが大きな課題であることが明らかになり、その解決策として、温かみのある白色照明、音楽、アロマオイル、緑の植物、透明感と広がりを取り入れることが効果的であることが分かりました。

最大の課題は、会場の天井の高さが低く、天井からの吊り下げが許可されていないことでした。この制約の中で、透明感と広がりを最重要視し、壁の使用を控え、展示テーブルの高さを低く保つことに焦点を当てました。これにより、空間の一端から他端までの視界を遮ることなく楽しむことが可能になりました。さらに、各展示者のデモテーブルは通路に面して配置され、創造的な方法で柱をラッピングしています。

2024年のA'デザインアワードでブロンズを受賞した「ムーンショットバー」は、芸術、科学、デザイン、テクノロジーのベストプラクティスを組み合わせ、優れた技術力と創造力を持つデザインとして評価されています。この賞は、生活の質の向上に貢献し、世界をより良い場所にするデザインに与えられます。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Takeshi Yoshida
画像クレジット: Takeshi Yoshida, 2024.
プロジェクトチームのメンバー: Takeshi Yoshida
プロジェクト名: Moonshot Bar
プロジェクトのクライアント: Takeshi Yoshida


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